退職金制度を作りたい・変更したい場合に知っておくべき注意点

  • 長期勤続へのモチベーションに新しく退職金制度を作りたい
  • 退職金の支給水準が今の世間水準とずれているような気がする
  • 退職金規程はそもそも必要なのかわからない
  • 退職金の支給水準の相場自体がわからない
  • 退職金の支給原資が足りなくなってきている
  • 中退共に加入しているが、懲戒解雇者にも支給されるので納得がいかない
  • 基本給連動方式のため、基本給が上げられない(昇給ができない)
  • ポイント制退職金であるが管理が複雑でうまく運用できていない

こんなお悩みありませんか?または興味はありますか?

近年は退職金に対する考えも多様化し、必要性自体が見直される時代となっています。

そもそも、ビジネスの環境変化のスピードが劇的に早くなっており、数十年先を見通すことが難しい時代となってきました。

給与と並び退職金も経営者にとって、考えてはいるものの・・・どうしたら一番ベストかよくわからない、と悩むポイントになっています。ここでは、退職金制度の作成、または変更を検討されている方の為に、以下の内容にて退職金制度についてご説明いたします。

目次

  • 新しく作る場合と今ある退職金規程を変える場合
  • 中小企業にオススメの4つの退職金制度
  • 退職金の水準を下げることはできるのか?
  • 社員から個別の同意が得られない場合の対処法

新しく作る場合と今ある退職金規程を変える場合

退職金制度を新しく作ることについては支給方法、支給金額、積み立て方法をどうするのか?といったことを実際の従業員に当てはめてシュミレーションしながら設計していきます。

どの水準で設計するか?という部分で多少は悩みますが、ゼロから作り上げることができるので、自由に設計できる利点があります。

一方、既に現状運用している退職金規程や規程はないものの会社として過去の運用ルールがあり、現状の制度を変える時は制約条件がでてきます。

現状の制度を変えたいとお考えの場合は、今ある制度に何らかの問題を感じているわけですが、その問題の内容により解決策も当然違います。

やはり一番大きな問題は「現状の古い退職金制度のままでは退職金の積み立て金が足りない、もしくは将来的に足りなくなる恐れがある」ということでしょう。

この問題は、あなたの会社にとって非常にやっかいで大きな問題です。

毎月の給与と同様に、退職金は労働条件の中でも非常に重要な事項です。

さらに、金額面からみても非常に高額となるため、支給水準を下げることはもちろんのこと、制度を変更する際には社員の同意を得ることが不可欠となります。

当然ですが、人は上がる分には文句は言いませんが、下げることについては猛烈に反発します。  

よって、金額や支給水準を下げる場合には、慎重な対応が必要になります。 

中小企業でオススメの4つの退職金制度

ちなみに、退職金制度にはどのようなタイプがあるのでしょうか?

以下に、中小企業でも運用がしやすい4つのタイプをご紹介させて頂きます。

なお、基本給連動方式はあまり時代にあわず、運用がしにくい制度ですので、それ以外の4つの制度をご紹介いたします。

運用が楽なのは、やはりシンプルな勤続年数別の定額制か中退共を利用した確定拠出型の制度です。

退職金制度は、賃金制度と同様にそのまま企業のカラーとなり、ウチの会社はこういう会社なんだよ、という社員へ対する大きなメッセージとなります。

1、定額制⇒勤続年数に応じた一定額

  • 10年で100万円、20年で200万円等のように勤続年数に応じて退職金額が決まる方式で管理や運用が非常に容易
  • 労働者にとっても支給額が一目瞭然でありわかりやすい
  • 特別功労者に対する加算をつける場合には、オプションとして特別加算金制度をつくれば対応可能
  • 勤続年数がベースとなるため在職中の労働者毎の会社への貢献度を金額に反映しにくい

 定額制退職金は小規模~中規模の会社に適しているといえます。定額制+特別加算金による制度とし、定額部分は若干低めに抑え、加算金部分にて柔軟な対応をとることも可能です。

 

2、ポイント制
⇒在籍時における累積ポイント×支給係数

  • 在籍時における勤続年数、職位(部長、課長等)、人事評価、特別表彰等の様々な要素をポイント化し、退職時に貯まったポイントに定数を乗じて退職金額を決定する制度
  • どの要素におけるポイントを高く設定するかで自社のカラーを出しやすく、オリジナルな退職金制度の構築が可能
  • 労働者個々人の人事履歴を入社~退職まですべて把握、管理しなければならない為運用が複雑となり管理に手間がかかる
  • 制度自体が複雑なことで使用者としては、原資の把握も難しくなってしまう


 ポイント制退職金は人事における管理体制の構築された中規模~大規模の会社に適した制度といえます。

 

3、別テーブル方式
 ⇒算定基準額×勤続年数毎の支給係数

  • 基本給連動方式と似ているが、退職金は基本給とは別に勤続年数毎に設定された算定基準額をベースに算出される方式
  • 現在基本給連動方式であれば、変更の際には類似の制度であるため社員からの同意を得やすい
  • 定額制同様に勤続年数がベースとなるため在職中の労働者毎の会社への貢献度を金額に反映しにくい
     

4、中小企業退職金共済(中退共)
⇒外部積立で支給額も積立先により決定

  • 掛け金、年数毎に設定された金額が支払われる
  • 外部積立の為、退職金の原資管理が非常に楽、かつ掛け金が全額損金算入できるメリットがある
  • 会社独自のカラーはだせず、加入は中小企業に限定される

就業規則のご相談

退職金の水準は下げることができるのか?

退職金制度を検討する場合、新しく退職金規程を作る分には社員の条件が向上することになるためあまり問題はありません。

問題は、昔からある退職金規程の支給水準を下げる場合です。ここでは、現在ある退職金制度を改訂するパターンを考えてみます。

退職金は毎月の給与などと同じように社員にとって保護される労働条件の一つとなっています。(むしろ、退職金は金額が大きい分月給よりもより強力に保護されます)

そして、これらの労働条件について金額を下げるなどの変更(不利益変更)をする場合には次の3つのやり方があります。

  1. 社員との個別合意
  2. 就業規則の改訂
  3. 労働協約の改訂

3つありますが、大原則は1の個別合意であり、あくまでも2、3は例外的な措置です。

2の就業規則の改訂の場合、社員との合意がなく労働条件を不利益に変更することはできません。

 

しかし、一方で改訂後の就業規則が合理的なものであればこの限りではない、という極めてグレーな解釈が残されています。

よって、このグレーゾーンをめぐり合理的かどうかでしばしばトラブルが発生してしまいます。

最後の3の労働協約は労働組合との合意文書になります。

労働組合については、ない会社もありますので、一般論として最も理想的な流れは以下となります。

  • 就業規則を改定し、その改定内容について社員から個別の合意を取り付ける。

社員から個別の同意をとることができない場合の対処法

上記の通り、退職金制度を改訂する場合は、規則を改訂し、その内容に個別同意をとりつけることが必要ですが、これは対象者が2~3人ならまだしも、数十人から100人単位となってくるとどうしても「嫌だ!」といって合意が取れない社員が出てきてしまうのが難しいところです。

 

この場合は、できる限り多くの社員から合意を取り付けることが合理性を担保することになりますので、個別合意は不利益変更における必須条件と言えます。

 

ちなみに、退職金規程の不利益変更はかなり高レベルの必要性がないと、訴訟になった場合経営側が負ける傾向にあり、極力争いは避けるべきです。


結論として、退職金の支給水準を下げることは、理論的には「できる」が、現実的には「難しい」と言えます。

このことからも、新しく退職金規程を作成する場合には、将来に渡って支給水準を「下げる」ことができないと理解した上で作る必要があります。


ちなみに、合意がないのに無理やり支給水準の引き下げをやってしまうと、

  • 外部の労働組合(ユニオン)に駆け込まれる
  • 弁護士など専門家へ駆け込まれる
  • 労働基準監督署へ駆け込まれる

 といった事態が発生してしまいます。


経営環境の悪化などにより、労働条件を悪化させる場合には、くれぐれも慎重な対応が必要です。

 

ここまで、中小企業の退職金制度のポイント、水準を下げる場合の注意点についてお話してきました。

しかし、社員に説明するための資料を作り、これをもとに社員に説明し、納得を得るという作業を、中小企業では、経営者ご自身もしくは人事担当者が行うのは相当ハードルが高いと思います。

 

退職金制度を作成し、無理なく運用してくためには、就業規則に詳しい経験豊富な専門家に依頼するのが一番です。

なお、弊所代表の志戸岡は10年に渡りこの仕事をしておりますので、どのような流れで進めていくべきか、また、その際にどのような資料を用意しどのような説明をすれば社員が納得しやすいのか、そのノウハウを持っています。

退職金制度の設計や改定でお悩みの方は、よろしければご相談ください。

 

当事務所では、経営者や人事担当者の方からのご相談は初回相談は無料にて承っております。お電話とメール、ご都合のよい方法でご連絡ください。

また、御要望があれば、電話だけではなく、弊所へお越し頂ければ対面での相談も初回は無料にてご対応させて頂きます。

就業規則のご相談

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(例:山田商事株式会社)

(例:山田太郎)

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社会保険労務士 志戸岡 豊

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