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就業規則の適用範囲と注意点

こんなお悩みありませんか?

就業規則を作成しようと思ってはいるが、いまいちよくわからない。

社員全員用のを一つ作成すれば管理も楽な気もするけどそれでいいのかなあ。

こんなことを考えている中小企業経営者、人事担当者の方も多いと思います。

このページでは、就業規則の適用範囲、作成対象者とその注意点についてご説明いたします。

就業規則の適用範囲で重要な「労働者」の考え方

就業規則の適用範囲を考えるには、まず労働者の定義、範囲を考える必要があります。

なぜなら、就業規則の適用範囲は「労働者」である為です。

労働者の定義を見てみると、労働基準法という法律で以下のように定められています。

✔労働基準法 第9条(定義)

この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。

賃金を支払われる者、とありますので、正社員以外の契約社員、アルバイト、パートタイマーなど会社に雇用される全ての社員が就業規則の適用範囲であり対象者となります。

正社員以外の就業規則を作る必要性

就業規則は常時十人以上の労働者を使用する使用者に対して作成が義務づけられています。

この「労働者」には、その会社・事業場で働くすべての労働者についての定めをする必要があります。

よって、正社員・パートタイマー・アルバイト・契約社員といった色々な社員がいる場合には、それぞれの区分に応じた就業規則を作成する必要があります。

ここで、もし様々な区分の社員が存在しているにも関わらず、正社員用の就業規則しか作成していなかった場合は原則として正社員用の就業規則が適用されてしまいます。

パートやアルバイトは個別に労働契約書を結んでるからうちは大丈夫と思っている経営者の方は注意が必要です。

なぜかといえば、就業規則と労働契約書では就業規則に優位性があり、就業規則に規定される待遇が労働契約書よりも良い場合は、就業規則が優先して適用されてしまう為です。

就業規則は社員の区分別にきちんと作成する必要があります。

就業規則と労働契約書の関係性については以下の別記事にて説明しています。そちらもぜひご覧下さい。

就業規則と雇用契約書の関係性、優位性といったことや、両者を作成するうえでのポイントをご説明します。

正社員と契約社員の待遇差はどの程度認められるのか?

正社員、契約社員、パートタイマーといった社員区分ごとに就業規則を作成する必要があるのはお伝えした通りです。

さて、では正社員と契約社員では給与を始めとした待遇差についてどの程度認められるのでしょうか?

この点については労働者の業務の内容、責任の程度、人事異動の範囲を考慮して、不合理なのかどうかが判断されます。

逆に言えば、どうすれば、合理的と判断され、待遇差を設けることができるのかを考えてみます。

 

1、労働者の業務の内容

正社員と契約社員では質と量どちらかの面で職務の内容をかえることができていれば、待遇差の合理性を担保する要素にはなるでしょう。

中小企業の実態として、正社員と契約社員でまったく同じような働き方をしている会社はその待遇差は不合理とみなされる恐れがあります。

 

2、責任の程度

この責任の程度、実は難しい部分です。

例えば、契約社員はある等級やある職位までしか昇格できない、管理職にもならない、だから正社員に比べて責任の程度が低い、という根拠をつくろうとします。

すると逆に、契約社員は昇進・昇格のチャンスがないという差別待遇になってしまう恐れもあります。

責任の程度は同じなのに、契約社員だから昇給がない、昇格もない、という場合はこの部分で不合理とみなされる恐れがあります。

 

3、人事異動の範囲

企業として一番明確にできそうな部分がこの人事異動の範囲です。

具体的にいえば、契約社員は転勤や配置転換がなし。逆に、正社員は転勤もあるし、配置転換もあり。

大企業はここがはっきりわかれており、転勤が嫌な場合は出世ルートからもはずれ、給与もかなり下がります。地域限定正社員などもこの人事異動の範囲を限定化することで発生しています。

では中小企業でやろうとするとどうか?当然、やらせる仕事の範囲がせまくなり、社員を配置転換(人事異動)させることが難しくなり、柔軟性が失われます。

 

上記の3点を考慮して、正社員と契約社員の待遇差については、合理的なのか、それとも不合理なのかが判断されます。

国の方でも、現在は非正規社員対策を大々的に実施しています。

そして、平成30年からは契約社員の方には無期転換権(5年以上契約していたら無期契約へ転換するという制度です)が生まれます。

このことからも、就業規則を作成するにあたり、それぞれの社員区分ごとに規則や規程を作成することにはなりますが、その内容を検討するにあたり、待遇差の根拠も考えておく必要があります。

業務委託契約、請負契約で働く人の取扱いは?

直接雇用ではない業務委託契約、請負契約で働く人が就業規則の対象となるかも考えていきます。

結論からいうと、これらの契約形態で働く人は「労働者」ではないため、就業規則の適用範囲の対象外となります。

ここで大事なポイントは、契約の名称が業務委託になっていれば全て労働者でなくなるわけではないということです。

弊所がご相談を受ける際にも、業務委託や請負という契約形態であっても実態としては他の社員と同じように働く雇用契約と考えられるケースで業務委託契約を使っている会社をしばしば見かけます。

会社としては、残業代や有給休暇、社会保険料などのコスト負担の面から、雇用契約ではなく請負又は業務委託にしたいという要望がある場合があります。

その意図自体はわかりますが、契約書だけを整備しても、実態として雇用契約・労働者とみなされれば、その人は当然「労働者」となり、企業側には労働者を雇用している責任が発生します。

就業規則の作成を考える際には、社員区分を改めて考えることになります。

その過程で、業務委託や請負で働く人がいれば、それらの契約が適切であるかもチェックしていく必要があります。

ちなみに、請負契約と業務委託契約も混同しやすい契約形態です。参考までに両者の違いを解説致します。適切な契約形態を選ぶ際の参考として下さい

請負契約と業務委託契約の違い

1、請負契約

仕事や物の完成を目的としてなされ、成果物によって報酬が支払わる契約です。

建設業での建物の完成などが代表例です。契約の相手方は事業主となりますので、当然、労働基準法の適用対象外です。労災保険も適用されず仕事中のケガは自己責任になります。

 

2、業務委託契約

請負に似ている契約形態ですが、こちらは仕事(物)の完成を目的とはしていません。

依頼する業務をやってもらうことを目的としています。似ているというのは、こちらも社員ではなく、事業主扱いで労働法の適用外となるためです。

 

両者の違いは例えば、工場で製品を100個作ることを条件に結ぶのが請負契約で、その工場を清潔に保つために清掃業務を依頼するのが業務委託契約になる、といったイメージです。

役員の就業規則は作成する必要があるか?

就業規則の適用範囲を考える際には、役員の取扱についてもよく質問を受けます。

役員と就業規則については、以下の記事にて詳しく解説しています。

役員は就業規則の適用を受けるのか?役員規程は作成した方がいいのかといった役員と就業規則についてご説明致します。

就業規則の作成や変更・改定でお悩みごとがあれば、よろしければご相談ください。

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