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※このページは2019年3月19日に更新されています。
昨今、働き方改革が叫ばれておりますが、働き方改革関連法案が2019年4月1日より、順次施行されることとなりました。
このページでは、以下に法改正のポイントと、企業としてどのように対応していけばいいのか?就業規則はどのように変えるべきかについて全体像をご案内いたします。
※なお、同一労働同一賃金に関わる部分は、別ページにて解説しておりますので本ページでは割愛しております。
1)年5日以上の有給休暇の消化義務を使用者に義務化(罰則あり)
※施行日:2019年4月1日
年休付与日数が10日以上である社員に対し、年5日の消化義務が課せられるようになり、5日未満の社員については使用者が取得日を指定して消化させる義務を負い、30万円以下の罰金規定の適用対象となります。なお、付与日が2019/4/1以降の社員が対象となります。
2)時間外労働の上限規制の見直し
※施行日:大企業は2019年4月1日、中小企業は2020年4月1日
時間外労働の上限について月45時間、年360時間を原則とし、特別な事情がある場合(特別条項)でも年720時間、単月100時間未満、複数月平均80時間を限度となります。
3)フレックスタイム制の清算期間が最大3ヶ月に拡大
※施行日:2019年4月1日
従来は最大でも1ヶ月であった清算期間が最長3ヶ月まで拡大できることとなり、より自由度の高いフレックスタイム制が可能となります。
4)高度プロフェッショナル制度の新たな創設
※施行日:2019年4月1日
時間ではなく成果で評価されるべき労働者を対象に労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金の適用対象外とする制度が創設されました。対象者は今後、職種が限定列挙され、また収入要件も定められる予定です。(年収1075万円以上であることが検討されています)
5)月60時間を超える時間外労働の割増率の中小企業の猶予措置の撤廃
※施行日:2023年4月1日
月60時間を超える時間外労働の割増率は50%とされていますが、中小企業は現在猶予されていました。この猶予措置がなくなり、2023年4月1日からは月60時間超の残業代が現在の1.25倍から1.5倍へと増加することになります。
6)長時間労働発生時の医師面談制度及び労働時間把握義務の強化
※施行日:2019年4月1日
月80時間を超え、疲労の蓄積が見られる労働者が申し出た場合、医師による面接指導の実施義務が課されます。また、この面接指導の実施にからみ今までは労働時間の厳格な管理を免除されていた管理監督者についても労働時間を把握する義務が生じることになります。
次に、これら働き方改革関連法への企業の実務対応についてご案内いたします。
大きくわけて3つになります。
1、有給休暇の年5日の消化義務化
2、時間外労働の上限規制
3、規制緩和による新制度の創設
以下にそれぞれ見ていきます。
1、有給休暇の年5日の消化義務化
有給休暇の消化率が悪い会社にとって一番懸念されるのがこの改正点です。社員別に5日付与しているかどうかをチェックできるような有給休暇の管理体制をつくる必要があります。また、付与日からの1年間で5日の消化義務があるため、どの時点で不足分を付与するかといった仕組みを作る必要があります。
また、付与方法としては、年5日程度の計画有給制度を作り、チェックしなくても自動的に5日以上は毎年消化される制度を作ることも考えられます。
社員数の多い企業では、これを機に5日付与のチェックが面倒であれば事務処理の負担軽減を目指し入社日起算による付与方式から全社員統一の付与日に変更することも考えられます。
2、時間外労働の上限規制
時間外労働の上限規制については、新たに対応が必要というよりも、やはり原則としての限度基準となる、月45時間以内に時間外労働をおさめるようにするのが正攻法となります。
繁忙期に45時間を超えてしまう企業においては、月の途中で45時間を超えるタイミングでの該当者への通知方法や時間外労働協定書(36協定)の限度時間に抵触しないような残業時間管理が求められます。
勤怠システムでアラートが出せる機能がある場合は、一定時間を超えた社員にアラートメールが飛ぶ設定にするといったことも考えられます。
根本的に残業時間が多く減らない企業では特に残業が多い人の業務内容の洗い出しを行い、そこから対策の検討、時間外労働削減へ向けた継続的な取り組みが必要です。
遅くとも、2023年3月までに最低でも月60時間以内、できれば月45時間以内に残業時間を抑える計画を立て、実行していくことが望まれます。
管理監督者を含めた労働時間の把握義務については、今まで以上に勤怠管理を徹底することが求められます。また、面談指導の実施基準の要件の1つが月80時間を超える時間外労働のため、時間外労働の上限規制と同様に、やはり残業時間をいかにして基準以下に減らすか?ということがポイントになります。
3、規制緩和による新制度の創設
①フレックスタイムの清算期間の拡大、②高度プロフェッショナル制度の創設
この2点は規制緩和に関わる改正点です。制度の適用をご希望される企業のみが対応することとなります。希望がなければ特に対応の必要はありません。
フレックスタイムについては、今までは清算期間は最長1ヶ月でしたが、これが最長で3ヶ月間に延長・拡大されるようになります。1ヶ月のうちでの繁閑の波だけではなく3ヶ月という長い期間で仕事量の調整ができる場合には検討の価値があります。
高度プロフェッショナル制度については、現状年収要件や職種要件などが不確定となっています。今後要件が具体化されることとなりますが、恐らく、制度発足時には対象者が非常に限定され該当する社員がほとんどいないことが想定されます。
上記の実務対応をするうえで、就業規則の改定をするべきか?する必要があるのか?についてもご説明いたします。以下にそれぞれ見ていきます。
1、有給休暇の年5日の消化義務化
①会社が時季指定(付与する日)を行う場合
既に有給の消化率が高く、会社が指定をせずとも全員5日を消化するような会社は不要ですが、消化率が低いような会社や人によって全く消化しない人がいる場合には今回の法改正に対応するために会社が有給休暇の時季指定を行う必要がでてきます。
この場合、休暇の与え方というルールに関わることですので就業規則の変更が必要になります。規定の内容は、時季指定を行う対象者とどのように時季指定を行うのかを規定することになります。
②計画的付与を導入する場合
有給休暇の計画的付与を行う場合には、就業規則を変更するとともに、「計画的付与に関する労使協定」を作成し締結する必要があります。
年次有給休暇の計画的付与は、以下のような点を検討し定めることとなります。
・いつ、どのような方法で消化させるのか?
・何日ぐらい計画的に消化させるのか?
・対象者はどこまでにするか?
・全員一斉に付与・消化するか?または個人別の設定日とするか?
③付与日の方式を改定する場合
有給休暇の管理方法として付与日の方式を入社日から一斉付与に変える場合には、就業規則の変更が必要になります。
一斉付与方式とする場合には、法定基準を下回ることはできませんので、規定の作り方には注意が必要です。
2、時間外労働の上限規制
時間外労働の上限規制については、大きな意味で、労働時間の管理方法を変える場合には当然就業規則の改定も必要になってきます。
例えば、新たにフレックスタイム制や1年単位の変形労働時間制といった特殊な労働時間の管理方法を導入する場合には就業規則の改定、労使協定の整備も必要になります。
3、規制緩和による新制度の創設
①フレックスタイムの清算期間の拡大
フレックスタイムを導入する場合や既に導入している場合でも、清算期間を拡大して適用する場合については、就業規則の改定、労使協定の整備が必要になります。
フレックスタイムを1ヶ月を超える期間で清算する場合には、残業代の計算・清算方法が従来に比べ複雑になりますので注意が必要です。
②高度プロフェッショナル制度
高度プロフェッショナル制度については、まだ具体的な要件が明示されていないため、不確かな点があります。導入に際しては、労使委員会と呼ばれる社内での体制作りがまず必要になります。また、この労使委員会の運営規程を作成する必要もあります。労働時間管理をはじめかなりの部分で特例を適用する制度のため、導入や運用には手間も時間もかかることが予想されます。
2019年4月以降の労働基準監督署の立ち入り調査では、今までよりも調査項目が増え、行政指導として指摘される項目が多くなることがまず予想されます。
調査はいつ起こるかわかりませんので、発生しても大丈夫な管理体制を構築することが求められます。
また、法改正の話題が報道されることで、社員の有給休暇に対する権利意識が高まり、有給がとれない会社では不満が高まることが推測されます。
関連して会社側の対応に不満を覚えたものが労働基準監督署等の行政機関へ問い合わせ・相談をすることで立ち入り調査などへ繋がる可能性もあります。今まで以上に、労務コンプライアンスへの対応が必要になってくるものと考えられます。
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