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就業規則と労働契約書

就業規則と雇用契約書(労働契約書)

記事更新日:2024年3月31日

このページでは、就業規則と雇用契約書の関係性、優位性といったことや、両者を作成するうえで理解しておくべきポイントについてご説明します。

目次

  • 就業規則と雇用契約書の違い・優位性
    1、雇用契約書の内容が下回るパターン
    2、雇用契約書の内容が上回るパターン
  • 就業規則と雇用契約書の整合性を保つポイント
  • 就業規則や雇用契約書がない場合の取扱い
  • 雇用契約書を作成し、書面で条件を確認する意義

就業規則と雇用契約書の違い・両者の優位性

職場におけるルールといえば、真っ先に「就業規則」が挙げられますが、就業規則は、統一して定められたみんなのルールです。

これに対し、雇用契約書(労働契約書)は労働者と会社が個別に結んだ一人一人のルールです。

当然、就業規則と雇用契約書はどちらも大切なのですが、よくある間違いとして、就業規則と雇用契約書の内容に整合性がとれていないことがあります。

この場合、どちらが優先されるのでしょうか?

これはまず、次の2つのパターンに分けて考える必要があります。

  1. 就業規則の基準よりも、雇用契約書の基準が下回るパターン
  2. 就業規則の基準よりも、雇用契約書の基準が上回るパターン

 

【補足説明】雇用契約書と労働契約書の違い

雇用契約書と労働契約書の違いについて質問を受けることも多いので補足しておきます。

厳密にいえばこの両者はそれぞれの根拠となる法律が異なります。

労働契約書は労働契約法、雇用契約書は民法になり、対象者の範囲などが微妙に違うのですが、実務的にはどちらの名称を用いても問題ありません。この両者の名称の違いを気にするよりも、契約書の中身をどう記載するのかが重要です。

1、就業規則よりも労働契約書の基準が下回るパターン

就業規則の基準よりも、労働契約書の基準が下回るパターンです。

これは、両者の優位性という点でいえば、「就業規則」が優先されます
 

よって、就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効となり、無効となった部分は、就業規則で定める基準になってしまいます。

 

これは、就業規則を下回る条件で労働契約書を締結した場合、その下回る部分については就業規則で定める基準まで自動的に引き上げられることを意味します。

なお、無効となるのは「就業規則で定める基準に達しない部分」についてのみであり、労働契約書の内容の全てが無効になるわけではありません。

✔労働契約法 第12条(就業規則違反の労働契約)

就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。

 

企業側が陥る失敗事例、リスクの一例としては例えば、就業規則が一つの会社で昇給や賞与を毎年支給する規定があるとします。

短期的に雇用した契約社員の労働契約書では「賞与や昇給はなし」とします。

この場合、就業規則の基準の方が上になり、合意があったとしても労働契約書の内容は無効となります。

このように、就業規則は会社に非常に重要なもので、「会社の憲法」とも呼ばれます。

企業経営上、非常に重要な就業規則なのですが、中小企業では昔作成してからほったらかしになっている会社もあります。

このような古い内容のままの就業規則には実態とは違う、今はもう使っていない会社にとっては不利な規定が残っていたりします。

そして、会社もあまり内容を把握していないのでそのことに気づいていません。

結果として、社員とトラブルになったときに役に立たない、もしくは逆に不利に働いてしまう就業規則になってしまいます。

2、就業規則よりも労働契約書の基準が上回るパターン

就業規則の内容よりも良い条件にて労働契約書を作成した場合です。

この場合は逆に、そのまま労働契約書の内容が優先して適用されることになります。

これは例えば、就業規則には規定していない手当を支給したり、就業規則に書かれている金額よりも労働契約書に記載する金額を高くして支給するといった場合です。

条件が良くなっていますので社員と揉めるという問題は起こりませんが、極力就業規則と労働契約書の内容の整合性はとっておく方がわかりやすいと言えます。

就業規則と労働契約書の整合性を保つポイント

弊所がご相談を受ける際によく見かけるありがちな、リスクのある事例としては次のようなものがあります。

  • 給与制度を変えるときに労働契約書だけ変更して、就業規則は昔の待遇のままになっているなど、会社の規則がダブルスタンダードになっている
  • 労働契約書は正社員・パート・契約社員と分けているのに、就業規則は1種類しかない
  • 就業規則しかなく、労働契約書を作成していないため、個々の労働者の細かい労働条件がよくわからなくなっている
  • 労働契約書に明示する項目が間違っている、不足している

 

対策の1例をご紹介すると、上記の2つ目の、正社員とパート、契約社員などがいるのに、1つの就業規則しかない場合は、契約書を分けていても「就業規則」の方が強いため、正社員の労働条件が適用されるリスクがあります。

このような場合は、以下の通り明確に就業規則に適用範囲を定める必要があります。

適用範囲

この就業規則は株式会社○○の正社員にのみ適用する。期間を定めて雇用される契約社員については別に定める。

加えて、きちんと契約社員やパートの就業規則を別個に作成し”各人の詳細な労働条件は個別の労働契約書により定める”とします。

 

こうすることで、通常の正社員とはちがうルールで雇用する社員を契約社員と位置づけ、その都度柔軟に雇用条件を定めることができます。

就業規則と労働契約書は両方大切ですが、ひな形を利用していたりすると、しばしば両者の整合性が合わなくなっていたりします。

しっかりと、就業規則と労働契約書が相互に補完するような内容で整備する必要があります。

弊所の就業規則作成サポートについては以下よりご案内致します。

就業規則や労働契約書がない場合の取扱い

整合性を保つことが重要とご説明したところですが、では、就業規則や労働契約書がない次のような場合はどうなるのかについてもご説明します。

※以下の労働契約書がない場合という状況には労働条件通知書といった書面での労働条件を記載したものがないという状況も含めたものとします。

  1. 就業規則だけあり、労働契約書はない場合
  2. 労働契約書だけあり、就業規則はない場合
  3. 就業規則も労働契約書も何もない場合

1は、就業規則に書かれた内容しか書面で条件が明示されていないパターンです。

この場合、細かい労働条件は口約束で伝えられただけ、ということが想定されますので、当然言った言わないといったトラブルになることが考えられます。

また、労働条件を書面で通知することは事業主の義務であるため、法律上求められる全ての項目が就業規則で明示されていない限り、労働基準法違反となります。

2は、小さな会社によくあるパターンです。

就業規則は常時10名以上の労働者を使用する使用者に作成が義務付けられている為、例えば5名の会社では、法律上は就業規則がなくても罰則などは何もありません。

この場合は、就業規則がないので、できるだけ詳しく労働契約書に会社のルールを書いておく必要がでてきます。

3は、1よりももっとひどく労働条件を何も書面で明示していないため、法律違反となります。

書面で明示することが面倒、と考えるブラック企業に多い体質と言えます。

ポイントは労働者にとって有利な条件が適用されること

いろいろと整合性について、解説しましたが、要は一番押さえておきたい法令上のポイントは、労働者にとって有利な方のルールが適用される、ということです。

・就業規則の方が有利であれば就業規則が優先

・個別の労働契約書の方が有利であれば労働契約書が優先

シンプルにまずはここを押さえておきましょう。

そのうえで、当然、就業規則と労働契約書の内容の整合性はとる、ということですね。

労働契約書を作成し、書面で条件を確認する意義

10人未満の会社・個人事業では就業規則の作成義務もないため、就業規則を作成していない会社も多いのが実態です。

そういった会社では、では何をもって労働条件を確認しているかといえば、入社の際の「労働契約書」が最大のトラブル予防ツールとなります。

しかし、実態としては社員数が数名の会社では、いまだにきちんとした労働契約書が作成されておらず、はたまた作成されていたとしても、内容が不十分なケースが多々あります。

 

弊所は就業規則や労働契約書といった労働条件の設計や整備を主にサポートしてきました。

そういった実務を10年以上にわたりこなす中で、トラブルが発生するまでの流れを見て行くと、やはり「入口が一番大事」という結論になります。

 

この入口には次の2つの意味合いがあります。

1、労働条件を明確に提示し、お互いが十分納得した上で入社する
→会社に合った労働契約書を作成し、その契約内容を確認できるようにする

2、会社に合う人を見つけて、会社に合う人(だけ)を入社させる
→採用戦略を計画し、実施し、改善し続ける

 

ただし、採用戦略を改善するのは、非常に難易度も高く、効果が表れるまでにお金や時間がかかることがほとんどです。


一方、労働契約書をきちんと作成し、労働条件を明確化し書類を整備することは専門家の力を借りれば比較的改善が短期間にできます。


そして、労働条件を明確にした結果、求人の応募者が集まらない、魅力的な条件にならないという別の問題がはっきりとでてきます。


だからこそ、他社にはない自社の強みは何かを考えだすことに繋がり、待遇を改善することに目を向けることになります。


もちろん、働いてみないとわからないのはお互い様ですし、入社した後も条件の変更は多々あります。

それでも、少なくとも入社する時点では会社と応募者が双方納得した上で仕事を開始することが極めて重要です。

就業規則・労働契約書のどちらも大事

労務管理において、就業規則・労働契約書はどちらも当然重要です。

そのため、就業規則のコンサルティングを実施する場合には標準セットとして、労働契約書も完備するようになっております。

企業が就業規則と労働契約書をうまく活用するには、現場の担当者がわかりやすい内容にする、難しく・複雑にしすぎない、担当者がきちんと内容を理解したうえで運用する、といったこともポイントになります。

弊社では、これらのすべてがうまくまわるように、規程や契約書の整備に留まらず、担当者のレベルに合わせた継続的なフォローアップまでサポート致します。

2024年4月1日からは労働条件明示事項が変わります

労働契約書に関連する法改正の重要事項として、2024年4月1日から改正される、労働条件明示事項の追加があります。

労働条件の明示事項についてはこれまでも法令上の定めがありましたが、今回の法改正により、次の事項についても労働契約書(または労働条件通知書)に明示する必要がでてきます。

  1. 就業場所・業務の変更の範囲
  2. 更新上限(通算契約期間または更新回数の上限)の有無と内容
    最初の労働契約の締結より後に更新上限を新設・短縮する場合は、その理由を労働者にあらかじめ説明することが必要
  3. 無期転換申込機会
  4. 無期転換後の労働条件
    ※無期転換後の労働条件については、就業の実態に応じて、正社員等とのバランスを考慮した事項について、有期契約労働者に説明するよう努めなければならない。
    ※「無期転換」とは、同一の使用者との間で、有期労働契約が通算5年を超えるときは、労働者からの申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換する制度です。

 

これらの法改正からもわかる通り、今後はますます個別の労働契約書の内容を整備することの重要性が増すものと考えられます。

当然、就業規則の整備も重要です。就業規則と労働契約書の整備は合わせてセットで整備していきましょう。

就業規則、雇用契約書の整備でお困りの方はぜひ弊社にご相談下さい。

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