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※記事更新日:2024年3月3日
就業規則・賃金規程での通勤手当や通勤費に関するこんなお悩みや疑問、ありませんか?
経営者が就業規則を考えるときに一番悩むのが、賃金・給与についてです。
しかし、上記のような細かい疑問をもたれている企業も多いにもかかわらず、中小企業ではその内容がしっかりと就業規則・賃金規程に落とし込めていません。
例えば、諸手当の中で最も一般的な手当でもあるものに通勤手当があります。
就業規則や賃金規程のサンプルで通勤手当の項目でよく見かける表現として「非課税限度額」までを支給する、というものです。
しかし、この非課税限度額を理解していない方も多いのではないでしょうか?
ここでは、中小企業の経営者・人事担当者が就業規則や賃金規程で考える通勤手当のポイントについてご説明いたします。
まず、大前提として通勤手当の支給については、法律上の定めで「いくら出さなければいけない」というルールはありません。
法律上のルールをあえて言うとすれば、いくら以上は所得税の課税対象となってしまう、というルールだけです。
よって、就業規則・賃金規程で、あなたの会社独自の支給基準や限度額を決めていくことができます。
しかし、自由に決めていいとはなってはいるものの、弊所が就業規則や賃金規程の改訂依頼をうけた際に、お客様の現状の就業規則や賃金規程をチェックしてみると、支給基準があいまい、もしくは規定されていないことがかなりあります。
具体的なよくあるパターンとしては次のようなものがあげられます。
上記の何か一つでも当てはまるものがあれば、やはりきちんと就業規則で支給基準を定めておく方が公平さにもつながり、会社が思わぬ負担を背負う事態も予防できます。
ところで、就業規則の作成義務は社員が10名以上の会社となっています。
よって、起業したての会社など就業規則がない会社もたくさんあります。
では、そういった企業では通勤手当をはじめとした諸手当の支給基準はどこで規定していけばいいのか?
また、作る必要はないのでしょうか?
この点については、就業規則は作成義務はありませんが、もし就業規則がない場合は、雇用契約書などの別の書類に給与の支給基準は明記しておく必要があります。
雇用契約書は就業規則と違い、社員がアルバイトの1名であっても必要な重要な書類です。
もちろん、社員数が10名未満であっても、せっかく支給基準を作るのであれば就業規則、賃金規程をしっかり作りたい!ということであれば、そちらの方が良いと言えます。
いずれにしても、諸手当を含めた給与の内容は、経営者も社員も一番気にする部分です。
あとで誤解が生じないように、社員1名でもしっかりとルールを決めておくべきです。
それでは具体的に、通勤手当の支給基準を作成する際のポイントですが、最低限決めておくべき内容として支給対象者と支給限度額があります。
支給対象者についてのポイントは次のようなものです。
都内の会社で駅から徒歩圏内に事業所がある場合には、そもそもマイカー通勤は禁止している会社も多く、その場合は交通機関利用者だけと決めておけば問題ありません。
一方で、事業所の所在地が駅からかなり離れている工場に勤務される場合はマイカー通勤が主流である会社もあります。
通勤手当の支給範囲については、会社の立地と社員の通勤方法を考慮して決めていけば社員の不満もおきにくいでしょう。
次に、限度額です。
一般的な就業規則の雛型では、「交通機関の定期代実費を支給し、支給限度額は所得税法に定める非課税限度額とする」という規定を多く見かけます。
では、そもそも、非課税限度額とはいくらなのでしょうか?
この金額を理解した上で規定しているのであれば何ら問題ありません。しかし、非課税限度額を理解していない場合はすぐに確認しましょう。
非課税限度額は、交通機関を利用する場合とマイカー・自転車通勤の場合とでは基準が違いますが、交通機関を利用する場合では月額150,000円となっています。
弊所は、所在地が千代田区にあることもあり、千代田区、中央区、文京区、品川区など都内23区内に会社の事業所があるお客様がほとんどです。
東京23区内のお客様の事業所へお勤めになる社員の皆さんの会社までの所要時間の状況をうかがうと、近い人で徒歩圏内、大半は1時間程度で収まっています。
都内の会社に勤務する場合、自宅から勤務先まで片道の通勤時間は1時間から1.5時間を目安基準とすると、使用する路線にもよりますが月額でおおよそ15,000円~20,000円といったところが定期代の相場といえます。
ここで例えば、片道3時間かけてくるという社員がいた場合、経営者・人事担当者はどのように感じるでしょうか?
現実的なケースを想定すると、自然と「うちの会社はこのぐらいが妥当だよね」という答えがでてくるはずです。
ちなみに、この非課税限度額の最高額が150,000円と設定されている支給イメージは大企業の重役クラスが新幹線通勤をしても非課税限度内に収まるような設定が為されている為です。
よって、中小企業の一般社員の通勤事情とは異なっています。
最近では、テレワーク(在宅勤務)で働く社員も増えてきました。
従来であれば、毎日出社することが前提になっており、通勤手当も定期代の支給を行うことが一般的でしたが、テレワークの普及に伴い、定期代ではなく、出社した日数分の実費を支給したいと考える企業も増えてきました。
このような在宅勤務者の通勤手当の取扱いについても、就業規則・賃金規程で定めておく必要があります。
就業規則において、「通勤手当は毎月1ヶ月分の定期代を支給する」という規定になっている場合は、実費額の支給ではなく、定期代の支給を行う必要があります。
テレワーク(在宅勤務)の規程と合わせて、通勤手当の取扱いルールを整備しておきましょう。
通勤手当の支給基準を作成する際には支給対象者を明確にしておくことがポイントであるのは先に述べた通りです。
ここで、正社員以外のアルバイトやパートタイマーの方の支給基準をどうするか?という点も考える必要があります。
昨今、同一労働同一賃金がクローズアップされており、既にガイドライン案が策定されています。
このガイドラインによると、通勤手当については、「有期雇用労働者又はパートタイム労働者にも、無期雇用フルタイム労働者と同一の支給をしなければならない。」とされています。
よって、基本的には正社員も非正規社員も通勤手当については同じ基準で支給する必要があります。
※なお、以下のような取扱いは問題にならない例としてガイドラインに明記されています。
<問題とならない例>
・所定労働日数が多い正社員には月額の定期代を支給し、所定労働日数が少ないアルバイトやパートタイマーには日額の交通費を支給すること。
さて、では、就業規則や賃金規程でこのような支給基準があいまいになっている、もしくは規程もなにもなかった場合に発生することが考えられるトラブルや問題を考えてみます。
1、会社にとって想定外の高額の支給額が発生
採用した当初は会社から近い場所に住んでいた従業員が遠方へ引っ越しを行った際、高額の通勤手当を支給することになってしまうケースです。
社員にとっては非常に良い待遇なのですが、月額数万円にもなる直接的な人件費の増加だけでなく、社会保険の標準報酬等級がアップすることに伴い、社会保険料といった法定福利費も比例して当然上昇します。
最近では、テレワークが世間に浸透したことで、社員の個人的な理由により会社が当初想定していないエリアに社員が引っ越しを行い、遠方から通勤を行うという事例も実際にあります。
2、給与計算、源泉所得税の納税金額の間違い
これは公共交通機関ではなく、マイカー通勤者で発生する事態です。会社から近い社員に対し非課税限度額以上の通勤手当を支給した際、本来は課税しなければいけない分も全て非課税で支給してしまっているケースです。
この場合は税金の計算方法が間違っていることになります。
3、虚偽申告による不正受給
こちらもよくあるトラブルのパターンです。実際に公共交通機関での通勤を申請しているにも関わらず、マイカー、自転車など別の手段で通勤をして通勤費を自分のお小遣いにするパターンです。
また、会社から遠くに住んでいた社員が会社の近くに引っ越した場合にも似たような事態が起こることがあります。本来であれば通勤経路の変更届を出すべきところ、故意または過失で会社へ申請を出していない場合です。
4、社有車、マイカー利用での万一の事故
リスクとしては最も大きなものがこの事故です。都心部の事業所では、駐車場の問題もあり車通勤を認めている会社の方が少数ではありますが、認める場合には保険加入状況などもしっかりケアしておいた方が無難です。
テレワークが進むと、1つ疑問がでてきます。
それは、自宅からオフィスへ出社する費用の取扱いが通勤手当なのか、それとも経費扱い(旅費交通費)なのか?という点です。
この点については、そのオフィスへの出社日における労働契約上の労務提供地が自宅か企業かで、以下のとおり、その実費となる交通費が通勤手当になるか、経費扱いとしてよいかが変わります。
1、オフィス出社日における労働契約上の労務の提供地が自宅の場合
労働契約上、オフィス出社日の労務提供地が自宅であり、業務命令により企業等に一時的に出社し、その移動にかかる実費を企業が負担する場合、その交通費は原則として実費弁償と認められ、経費扱いとしてOKとされています。
※この場合は、社会保険料・労働保険料等の算定基礎となる報酬等・賃金には含めなくてもよいとされます。
2、オフィス出社日における労働契約上の労務の提供地が企業とされている場合
出社日の就業場所が企業での勤務となっていることから、自宅からオフィスに出社するために必要な交通費を企業が負担する場合、その費用は、通勤手当として報酬等・賃金に含まれるため、社会保険料・労働保険料等の算定基礎に含まれます。
何だかややこしいですが、実務上は完全テレワーク(労働契約上の就業場所が自宅となっている)の会社以外は、やはり通勤手当になるのが一般的であると言えます。
ここで一つ、弊所のお客様での支給基準の設計事例をご紹介します。
そのお客様では、会社から遠くに住んでいた社員の方が、通勤負荷を軽減し万全の労働力を提供するために会社の近くに引っ越すというのが何人か発生しました。
どこに住むかは本人の自由ではあるものの、会社としては、通勤手当も減るし何かしてあげたい、という思いがでてきました。
そこで、住宅手当を新たに作り、支給基準の一つに会社の一定の近隣エリアに住んでいる人という要件を作りました。
都内の企業様の場合、会社の近くの賃貸物件を借りようとすると当然賃料も郊外のエリアに比べて高くなってしまいます。
そのため、郊外よりも高い賃料負担を住宅手当で補助してあげることは合理的な考えと言えます。
このように、通勤手当一つをとっても、作り方や決め方で自社の給与支給のバランスをとることは可能になります。
就業規則や賃金規程で給与体系や支給基準を検討する場合、最も重要なものはやはり基本給となります。
この基本給に加えて、諸手当としてどんな手当を支給するのかを検討するわけですが、実は通勤手当はそこまで悩む部分ではなく、それ以外の手当をどうするのかの方が、お悩みのポイントであることが多いといえます。
私が今までによく相談を受ける例としては、次のような手当があげられます。
諸手当については、法律に違反しない限りにおいて、会社が自由に定めてもいい部分であり、その会社の独自性・色がでてくる部分でもあります。
給与制度の改定・整備にあたり理解しておくべきポイントについては以下の記事でご説明しております。こちらもご覧頂ければ幸いです。
給与制度、賃金規程の改定・整備をするにあたり大切な5つのポイントをご説明致します。
・ちょうど給与体系を変えたいと思っていた
・頭の中にイメージはあるけど具体的にどうすればいいのかわからない
・法律上のことも理解しながら給与の支給基準を決めたい
・社員のモチベーションをあげる仕組みを給与に取り入れたい
・今の諸手当の支給基準や金額を見直したい
こういったお悩みがございましたら、ぜひ一度ご相談ください。
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