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記事更新日:2024年4月2日
副業の取扱いは時代とともに、かなり変わってきました。
以前は正社員の場合は副業の禁止は当たり前でしたが、時代は代わり、副業を認める動きも徐々にでてきています。
厚生労働省のモデル就業規則においても、副業については原則禁止から原則容認へと方向性が変わり、メディアでも取り上げられ大きな話題となりました。
このページでは、社員の副業の取扱いを就業規則で規定する際のポイントをご説明いたします。
就業規則で副業の取扱いについて規定する会社は多いですが、実は社員の副業を全面的に禁止することはできないようになっています。
これは、社員には、会社との労働契約によって様々な縛りを受けますが、あくまでも就業時間についてのことです。
プライベートな、終業後の時間をどのように使うのかについては原則は社員の自由となります。
つまり、就業規則で副業の禁止を規程したとしても、どんな場合でもその禁止規定が全て認められるわけではなく、要件が必要になります。
就業規則において副業禁止の定めがある場合に、その禁止規定が認められるパターンは大きく分けて次の4つになります。
① 労務提供上の支障がある場合
② 業務上の秘密が漏洩する場合
③ 競業により自社の利益が害される場合
④ 自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合
上記のなかで①と③について、もう少し詳しく考えてみましょう。
1、労務提供上の支障がある場合
労働契約の趣旨は、労働力を提供することで賃金を支払うというものです。
これは労働者側からすれば、良質な労働力を提供する義務を負っており、単純に出勤すればいいというものでもありません。
よって、副業で心身ともに疲弊した状態で出勤されても、本業の仕事に集中することはできません。
もう少し具体的にイメージしてみましょう。
私は大学時代に色々なアルバイトをやった経験がありますが、中でも体力的にきつかったのが工事現場の深夜のアルバイトです。
例えば、もっと収入を増やしたいと考えた社員の方が日中仕事をした終業後に、このような肉体的にキツイ深夜のアルバイトをして、次の日出勤したらどうでしょうか?
とてもじゃないですが、きちんと睡眠をとった社員とは労働力の「質」が変わってしまい本業に悪影響がでるはずです。
このようなパターンでは副業禁止が認められる傾向が強くなります。
2、競業により自社の利益が害される場合
社員には、在職中に会社の不利益になる競業行為を行なうことを禁止するという競業避止義務というものが課せられています。
このパターンは、自社の情報漏えいの問題とミックスで問題になることも多く、会社としても一番注意しなければならないパターンです。
ライバルとなる同業他社で働くこともありますが、実はこのケースは社員が自分で事業をやって利益を得るという形の副業にも該当します。
上記の他、副業の内容が会社の信用を失墜させるような場合も禁止が認められる傾向が高いでしょう。
最も、会社の信用失墜行為については広い解釈ができますので副業が直接的にかかわるかといえば少し違ってきます。
副業禁止の規定が就業規則に書いていない場合、または就業規則がそもそもないような場合はどうなるのでしょうか?
この場合は、社員が副業をしたこと自体では懲戒処分をすることができないことになります。
ただ、副業に関係して会社の秩序を乱したといった場合や、会社の重要な情報を漏らしたという場合については、また変わってきます。
副業禁止が書いてないからといって、どんな場合においても副業が認められるわけではありません。
就業規則で副業禁止を定めた場合、そのルールを守らない社員への対処をどうするかも問題です。
まず、解雇という手段をいきなり選択するかは別にして、会社が懲戒処分を社員に懲戒処分をする場合には、以下の要件を全て満たす必要があります。
1、就業規則に根拠規定があること
これは、規定を定めておけば問題ない点です。
2、懲戒事由に該当する事実があること
これは、副業禁止規定に違反したという事実があることです。疑わしいけれども証拠がない場合などは微妙なところです。
3、懲戒処分の内容の程度に相当性があること
ここが一番難しいポイントです。懲戒処分に該当する事実と、その処分の内容にバランスがとれているか、ということです。
解雇が認められるかどうかも、副業禁止規定を違反したことで会社に与えた影響の大きさが判断のポイントになります。
ここで、副業の禁止規定に違反したとして社員を解雇した事例で、解雇が認められた事例、認められなかった事例をそれぞれご紹介します。
この事例のように、副業禁止を就業規則で定めたとして、もし規定に違反した社員を解雇したとしても、その規程の有効性は個別の事案によって異なるということになります。
建設会社の社員が、終業後に午後6時から午前0時までキャバレーで毎夜6時間の副業をしていたことが発覚し、副業禁止規定に違反したとして会社を解雇された事例です。
この事例では裁判所は、「軽労働とはいえ毎日の勤務時間が6時間に亘り、かつ深夜に及ぶものであって、単なる余暇利用のアルバイトの域を超えるものであり、副業が債務者への労働の誠実な提供に何らかの支障をきたす蓋然性が高い」として、解雇の有効性を認めています。
貨物運送会社の運転手が運送先の店舗の荷物を運ぶアルバイトを年に数回したことは、「業務への具体的な支障をきたしていない」として解雇を無効とした事例があります。
副業禁止が認められるパターンの1つが「心身の疲労により本業に悪影響を与える副業の場合」であることは先に説明した通りです。
この悪影響を与える程度は当然、正社員とパートタイマーでは変わってきます。
例えば、週に3日(月曜、火曜、水曜)勤務するパートタイマーの方が、他の木曜と金曜に会社とは全く別業種の仕事を副業でしていた場合には、普通に考えて本業に悪影響がでるとは思えません。
こうなると、正社員に比べ、アルバイトやパートタイマーといった非正規社員の場合には、競業避止や守秘義務が守られている限り、副業は原則容認されるという考えになるでしょう。
社内で副業のルールを検討するとき、また、実際に社内で副業をする人が発生したときに押さえておきたい資料としては、厚生労働省の副業・兼業ガイドラインがあります。
この資料は平成30年に作成が為されたあと、何度かの改定があり、現在は令和4年7月改定版がリリースされています。
副業者について企業として対応が必要な点は、競業・守秘義務を除けば、やはり労働時間管理、過重労働対策です。
結論としては、自社での残業時間と副業先での労働時間を合計して、過労死ラインの月80時間を超えないように、コントロールしていきましょう、というのが1つの基準・指針となります。
このあたりの副業者に対する考え方についてガイドラインに記載がありますので、企業のご担当者はこのガイドラインに目を通しておきましょう。
では、実際に社員から副業の希望があった場合はどのような対応をすべきでしょうか?
弊社がおすすめする対応法は、就業規則で大枠のルールを決めておき、実際に個別に希望者が発生したときには、個別に許可申請をあげてもらうやり方です。
企業ごとに就業規則の内容に応じて、申請書のフォーマットを作成しておき、その申請書に基づいて副業の許可申請を行ってもらう、というやり方になります。
この許可申請をする際に、副業先の就労条件なども合わせて申請書に記載してもらうような流れになります。
いかかでしたでしょうか?
ここまで、副業と就業規則の規定や実際に副業者がでた場合の対応法などについてご説明致しました。
就業規則に新しく副業の取扱いも規定したい、今ある副業の規定を変えたい、副業の取扱いについて相談したい、という方はぜひ一度弊所にご相談下さい。
その際、自社の就業規則が既にある場合は、その資料も持参してご相談に来られるとより具体的なアドバイスが可能です。
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