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働き方改革:産業医・産業保健機能強化と就業規則

このページでは、範囲が広くてわかりにくい働き方改革法のうち、産業医と産業保健機能の強化について法改正のポイントと、就業規則はどのように変えるべきかについてご案内いたします。

働き方改革における産業医と産業保健機能強化の法改正ポイント

働き方改革のポイントの1つが長時間労働の抑制と、健康管理面の強化です。

職場における社員の方々の健康管理をより積極的に実施するために、今回の法改正では産業医の権限や機能が強化されました。内容としては以下となります。

1、産業医の活動環境の整備

  • 産業医の知識・能力の維持向上
  • 産業医の権限の具体化
    ①事業者又は総括安全衛生管理者に対して意見を述べる
    ②労働者から当該労働者の健康管理等の実施に必要な情報を 収集する
    ③労働者の健康確保のため緊急の必要がある場合、当該労働 者に対して必要な措置を指示する
  • 産業医の独立性・中立性の強化
  • 産業医の辞任・解任時の衛生委員会への報告
    事業者は、産業医が辞任又は産業医を解任した時は、遅滞なく(概ね1ヶ月以内)、その旨及びその理由を衛生委員会に報告しなければいけません。

 

2、事業者から産業医に対する情報提供

  • 既に講じた健康診断実施後の措置、長時間労働者に対する面接指導実施後の措置、ストレスチェック検査結果に基づく面接指導実施後の措置又は講じようとするこれらの措置内容 ※これらの措置を講じない場合にあっては、その旨及びその理由 →意見聴取後遅滞なく(概ね1ヶ月以内)
  • 時間外労働が1月当たり80時間を超えた労働者の氏名と超えた時間に関する情報 →超えた時間の算定後速やかに(概ね2週間以内)
  • 労働者の業務に関する情報で産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要と認めるもの →産業医から情報を求められたら速やかに(概ね2週間以内)
  • 情報提供の方法については書面により行うことが望ましい。
  • 提供方法を事業場ごとに予め事業者と産業医で事前に決めておくことが望ましい。


3、産業医による勧告

  • 産業医は事業者に勧告するときは、あらかじめ当該勧告の内容について事業者の意見を求めなければいけません。
  • 事業者が産業医から勧告を受けたときの衛生委員会等への報告
    〇勧告の内容
    〇勧告を踏まえて講じた措置の内容
    〇措置を講じない場合にあってはその旨及びその理由
    →衛生委員会へ報告 *記録を3年間保存

 

4、産業医の業務内容の周知

  • 産業医を選任した事業場は産業医に関する以下の内容を労働者に周知しなければならない。

(周知する内容)

〇産業医の業務の具体的内容

〇産業医に対する健康相談の申し出の方法

〇産業医による労働者の心身の状態に関する情報の取扱い方法

 

(周知する方法)

〇常時各作業場所に見やすい箇所に掲示・備付等

〇書面を労働者に交付

〇磁気テープ、磁気ディスク等に記録し、各作業場所において常時確認できる機器を設置
※事業場内のイントラネットでの電子掲示板への掲載も含む

 

5、労働者の心身の状態に関する情報の取扱い

  • 労働者が雇用管理において不利益な取り扱いを受ける不安なく、健診等を受けられるようにするため、労働者の心身の状態に関する情報を収集等するに当たって、健康確保に必要な範囲内で収集し、保管・使用しなければなりません。
  • 労働者の心身の状態に関する情報を管理するために必要な措置を講じなければなりません。
  • 情報を適正に管理するために講ずべき措置に関する「労働者の心身の情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針」が公表済です。

就業規則改定の必要性と対応方法・規定例

産業医と産業保健機能の強化についての就業規則改定のポイントは以下となります。

  • 労働者数50人以上の事業場において産業医の選任義務のある会社では産業医について以下内容を追加
  • 産業医に提供する情報の内容と提供方法
  • 産業医の選任に関して衛生委員会への報告
  • 産業医の業務内容の周知とその周知方法

<就業規則規定例> ※法改正内容に絞った規程案

(産業医)

第**条 常時使用する労働者が50人以上の事業場では産業医を選任し、労働者の健康管理等を実施する。

2.会社は、産業医に以下の権限を付与する。
一、事業者又は総括安全衛生管理者に対して意見を述べること
二、労働者から当該労働者の健康管理等の実施に必要な情報を収集すること
三、労働者の健康確保のため緊急の必要がある場合、当該労働者に対して必要な措置を指示すること

3.会社は、産業医に対し以下の情報を提供する。なお、情報の提供は原則として書面にて実施する。
一、既に講じた健康診断実施後の措置、長時間労働者に対する面接指導実施後の措置、ストレスチェック検査結果に基づく面接指導実施後の措置又は講じようとするこれらの措置内容(これらの措置を講じない場合にあっては、その旨及びその理由)については、意見聴取後概ね1ヶ月以内に遅滞なく提供する。
二、時間外労働が1月当たり80時間を超えた労働者の氏名と超えた時間に関する情報については、超えた時間の算定後概ね2週間以内に速やかに提供する。
三、労働者の業務に関する情報で産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要と認めるものについては、産業医から情報を求められた場合には概ね2週間以内に速やかに提供する。

4.会社は、産業医の勧告を受けたときは、以下の情報を衛生委員会又は安全衛生委員会に報告する。
一、勧告の内容
二、勧告を踏まえて講じた措置の内容
三、措置を講じない場合にあってはその旨及びその理由

5.会社は、産業医による労働者の健康管理等の適切な実施を図るため、産業医が労働者からの健康相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の必要な措置を講ずるように努めるものとする。

6.会社は、産業医が辞任又は産業医を解任した時は、概ね1ヶ月以内に、その旨及びその理由を衛生委員会に報告しなければならないものとする。

7.会社は、産業医を選任したときは産業医に関する以下の内容を社員に周知する。なお、周知の方法は書面を交付することにより実施する。
一、産業医の業務の具体的内容
二、産業医に対する健康相談の申し出の方法
三、産業医による労働者の心身の状態に関する情報の取扱い方法

産業医・産業保健機能に関する企業のリスク

働き方改革における産業医や産業保健機能強化に関しての企業のリスクとしては次のようなものが考えられます。

  • 産業医との連携不足、情報共有不足によるメンタルヘルスをはじめとした社員の疾患
  • 産業医の勧告を無視したことによる社員の健康面でのトラブル
  • 実施義務を履行しないことに対する行政指導
  • 法改正内容を知らずに健康障害による民事賠償が起こった場合、不利な事態を招く

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