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このページでは、範囲が広くてわかりにくい働き方改革法のうち、年次有給休暇の5日の付与義務に関して法改正のポイントと、就業規則はどのように変えるべきかについてご案内いたします。
日本の有給休暇の消化率は上場企業を含めた全体でみても、約50%程度となっています。
従業員規模が小さくなればなるほど、消化率は下がることが推測され、中小企業での消化率の実態は30~40%程度というのが実態かと思います。
また、多くの会社では、有給休暇はたくさん消化する人と全く消化できない人に差があるのもよくあるケースです。
このような状況で、法改正により全員に1年間で最低5日は付与(消化)する対策が必要になります。そこで真っ先に考えられる対策がこの年次有給休暇の計画的付与と呼ばれる制度になります。この計画的付与制度の特長は以下となります。
上記の通り、この計画的付与制度を導入するためには、労使で内容を協議し、労使協定を締結する必要がありますが、この労使協定で定める項目が以下となります。
「今まで休みにしていた日の5日を有給消化にしたい」
このやり方ができるのであれば、年間のお休みの日数は変えずに法改正の要件をクリアすることができることになるのですが、可能なのでしょうか?
就業規則が整備されておらず休日、休暇、年次有給休暇の区別が曖昧になっている会社では、そもそもどのお休みが休日なのか有給休暇なのかがわかっていません。
とはいえ、もともと休日、休暇であった日を会社が有給消化の日に変えることは明らかな不利益変更です。厚生労働省からのQ&A集においても、従来あった休日や休暇を年次有給休暇へ変更することは今回の法改正の趣旨とは違う取扱いのためやめて下さいという回答が出されています。
当然ながら、労働条件・就業規則の不利益変更については労働者の同意が必要です。また、仮に、労働者の同意が得られたとしても、社員のモチベーションの低下や会社への不信感を持つことにもなるため、慎重な対応が望まれます。
就業規則の基礎知識と労働条件・就業規則を悪化する場合の不利益変更の注意点を説明致します。
今回の法改正による年次有給休暇の付与義務に関して想定される企業のリスクには次のようなことが考えられます。
今回の有給休暇の付与義務に関する就業規則改定のポイントは以下となります。
<就業規則規定例>
(年次有給休暇) ※通常の入社日方式で会社が時季指定を行うための規程
第**条 1項~*項(略)
*.本条に定める年次有給休暇が10日以上付与される社員については、その付与された年次有給休暇のうち5日分については、会社は付与日から1年以内に社員の希望を聴いたうえで時季を指定して付与するものとする。ただし、計画的付与により取得した日数及び社員本人が時季を指定して取得した日数の合計が5日以上である場合、本項は適用しない。
(年次有給休暇の計画的付与) ※計画的付与を行うための規程
第**条 会社は、社員の心身のリフレッシュを目的として、社員の過半数を代表する者との労使協定により、各社員の有する年次有給休暇のうち5日を超える日数について年次有給休暇を計画的に付与する。詳細は労使協定の定めによる。
【労使協定の例】年次有給休暇の計画的付与に関する労使協定
株式会社****(以下「会社」という)と株式会社****の社員の過半数を代表する者(以下、「社員代表者」という)は、年次有給休暇の計画的付与に関し次の通り協定を締結する。
(年次有給休暇の計画的付与)
第1条 会社は、社員の有する年次有給休暇のうち、各年度に付与する年次有給休暇の5日を超える日数の部分について、社員に計画的に付与するものとする。
2.年次有給休暇の計画的付与は、原則として業務の繁忙を考慮のうえ、個人別付与日を設定する。
(年次有給休暇の計画的付与日)
第2条 本協定に基づき、年次有給休暇の計画的付与を実施する時期は夏季休暇とし、付与方法は以下の通りとする。
一、*月*日から*月*日までの期間において社員の希望日にて原則として連続した5日間の有給休暇を付与する。
二、計画的付与日についての個人別付与日は業務遂行に問題が生じぬよう調整をしたうえで有給休暇取得計画表に基づき、取得する。なお、本計画表は所属部門長の承認を経て実施するものとする。
(本制度の対象社員の範囲)
第3条 本制度は、原則として1年度の有給休暇付与日が10日以上の社員について適用する。ただし、会社が認めた場合はこの限りではないものとする。
(協定の有効期間)
第4条 本協定の有効期間は、**年*月**日より1年間とする。ただし、有効期間満了の1ヶ月前までに、当事者いずれからも申出がないときには、1年間延長するものとし、以後同様に更新する。
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